*第2四半期(2025年4月~9月)まとめは最後に書いてあります。
「株主になるとディズニーランドに行けるらしい。」
そんな話をきっかけに、初めて株式投資に興味を持つ人も多いのではないでしょうか。私もそのタイプです。
噂の真相は、東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランド(OLC)の株主優待。一定数の株を保有すると、東京ディズニーランドまたは東京ディズニーシーで使える「株主用1デーパスポート」がもらえます。
しかし、少し調べてみると500株で年1枚という条件が書いてあり、今の株価(2025年11月時点 約3,100円)だと約150万円です。
「150万円で1枚だと全然お得じゃない」と感じますよね。
でも実は100株でも“長期保有”で1枚を受け取る方法があるのです。
今回はこの優待の詳細を見ていくとともに、オリエンタルランドの今後、日本のテーマパーク業界の行方についても考えていきたいと思います。
「夢の国のチケットがもらえる」なんて聞くと、ついテンションが上がってしまいますが、実際のところ、誰でも簡単にもらえるわけではありません。
ここからは、オリエンタルランドの株主優待がどんな仕組みなのかを、一般優待と長期優待に分けて詳しく見ていきましょう。
オリエンタルランド|株主優待の詳細まとめ
オリエンタルランドの株主優待は、東京ディズニーランドまたは東京ディズニーシーで利用できる「株主用1デーパスポート」がもらえるという、人気の高い制度です。
優待を受けるためには、毎年3月末日と9月末日の基準日に株主名簿に記載されている必要があります。
一般優待(通常の株主優待)
一般優待は、保有株数に応じて株主用パスポートが贈られる仕組みです。
2023年4月に実施された株式5分割に伴い、現在は500株以上の保有が対象になっています。
| 所有株数 | 優待内容(1年間あたり) |
|---|---|
| 500株以上 | パスポート 1枚(3月末のみ) |
| 2,000株以上 | 年2枚(3月・9月に各1枚) |
| 4,000株以上 | 年4枚 |
| 6,000株以上 | 年6枚 |
| 8,000株以上 | 年8枚 |
| 10,000株以上 | 年10枚 |
| 12,000株以上 | 年12枚 |
※優待パスポートは発行日から1年間有効で、東京ディズニーランドまたは東京ディズニーシーのいずれかで利用できます。
※500株未満は現在、優待対象外です。
長期保有優待(3年以上継続保有)
さらに、100株以上を3年以上継続保有している株主には、通常優待とは別に1枚の株主用パスポートが追加で贈呈されます。
「3年以上」とは、3月末・9月末の株主名簿に同じ株主番号で7回以上連続して記載されていることが条件です。
この長期保有優待は9月末の基準日に判定され、毎年12月頃に発送されます。
記念優待(創立65周年記念)
2025年9月末基準では、創立65周年記念として特別優待が実施されます。(5分割されて以降、初めてのことです)
この基準日に100株以上を保有している株主に対して、株主用パスポート1枚が追加配布される予定です。
有効期限は2026年8月31日までとなっています。
利用方法と注意点
- 優待パスポートを利用する際は、事前に公式サイトまたはアプリで入園予約が必要です。
- 入園制限日や特別イベント日など、利用できない日が一部設定されています。
- 優待券の有効期限は1年間で、期限を過ぎると無効になります。
- 転売・譲渡は禁止されています。家族間での使用は可能です。
よくあるQ&A
Q1. 優待パスポートはいつ届きますか?
A. 通常、3月末基準分は6〜7月頃、9月末基準分は12月頃に発送されます。長期優待分は9月基準に合わせて同時発送されることが多いです。
Q2. 株を途中で売ったら優待はもらえますか?
A. 基準日(3月末・9月末)時点で保有していれば、その期の優待は受け取れます。ただし基準日を過ぎてから売却した場合のみ有効です。
Q3. パスポートの使い方は?
A. 優待券の裏面に記載されたIDを、東京ディズニーリゾート公式サイトの「入園予約」ページで入力して予約します。パーク選択・日付指定が必要です。
Q4. 優待の価値(利回り)はどのくらい?
A. 入園料は時期により約8,400〜10,900円の範囲なので、500株(約150万円前後)で1枚もらえる場合、優待利回りは約0.6〜0.7%程度です。
金銭的利回りは小さいものの、人気・満足度が非常に高い実用型優待です。
優待まとめ
今回の条件付きでの優待と先に書いた内容は、長期保有優待のことです。
3年保有すれば、そこから毎年1枚もらえるようになります。優待目当ての方は、チケットが一枚1万円を想定すると31年通えば回収できます。「※100株・長期優待で毎年1枚、チケット1万円・税制や手数料は一定と仮定」
(正確には0.4%程度の配当があるため、もう少し早いです。)
自分が使わなくなっても、家族に譲るなど喜ばれる使い道があります。(転売はNGです!)
さらに今後、インフレが続いた場合、ディズニーの値上げは避けられないかもしれません。そうするとチケットの優待利回りが上がり、思ったより早く回収できるなんてこともあるかも、、、。
オリエンタルランドの株主優待は、「夢の国」のチケットがもらえるという点で日本でも屈指の人気を誇ります。
500株以上の保有が必要なため投資金額はやや高めですが、
家族で楽しめる実利型優待 × 長期保有特典 +(記念優待?)のチケット優待+αのある魅力的な制度です。
将来的に優待内容が変更される可能性もあるため、必ず最新のIR情報を確認しておきましょう。
「第三者への転売・営利目的の譲渡は不可です。名義・利用条件は最新の公式IRの記載を確認してください。」
出典:オリエンタルランド公式IRページ
TDL/TDSを支える企業構造:舞浜の“リゾート経済圏”
オリエンタルランド(4661)は、千葉県浦安市舞浜に本社を置くテーマパーク運営企業で、1960年に設立されました(前身会社は1957年設立)。1983年に東京ディズニーランド、2001年に東京ディズニーシーを開園し、いずれも米ウォルト・ディズニー社とのライセンス契約のもとで運営されています。2つのパークを中心に、ホテル事業や商業施設運営など幅広く事業を展開しており、1961年に東京証券取引所へ上場しました。
2024年6月には、東京ディズニーシーの新エリア「ファンタジースプリングス」がグランドオープンし、集客力と滞在価値が一段と向上。これを成長の追い風として、同社は2035年度に売上高1兆円超を目指す長期ビジョンを掲げています。
事業セグメントは大きく3つに分かれ、
- テーマパーク事業(売上の約8割を占める)
- ディズニーホテルを運営するホテル事業、
- 「イクスピアリ」や「ディズニーリゾートライン」を含むその他事業を展開。
すべてが舞浜エリアに集約され、地域全体で“夢と感動”を届けるリゾート型エンターテインメント拠点を形成しています。
過去5年の業績推移
直近の期末(2025年3月期)から過去5年間の主要業績指標と株価指標の推移をまとめました。売上高および経常利益は億円単位、自己資本比率は%、ROEは%、PBRとPERは倍で表記しています。
表のポイント
コロナ禍の赤字からV字回復し、2025年3月期は2期連続で過去最高益を更新。
客単価の上昇と新エリア効果で堅調な増収を維持し、財務も盤石な成長基調へ。
| 年度(期末) | 売上高 (億円) |
経常利益 (億円) |
自己資本比率 (%) |
ROE (%) |
PBR (倍) |
PER (倍) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2021年3月期 | 1,705.8 | -492.0 | 73.0 | – | 7.2 | – |
| 2022年3月期 | 2,757.3 | 112.8 | 69.6 | 1.1 | 10.2 | 953.8 |
| 2023年3月期 | 4,831.2 | 1,118.0 | 68.8 | 9.7 | 8.9 | 91.9 |
| 2024年3月期 | 6,184.9 | 1,660.0 | 70.1 | 12.7 | 8.4 | 66.1 |
| 2025年3月期 | 6,793.7 | 1,733.3 | 67.9 | 12.7 | 4.9 | 38.9 |
各年度の推移を見ると、オリエンタルランドはコロナ禍から見事に立ち直り、劇的な回復を遂げました。2021年3月期は、長期休園や入場制限の影響で売上が大きく落ち込み、最終赤字541億円と厳しい結果に。しかし2022年3月期には、来園者数の回復とコスト削減で純利益8億円の黒字へ転換。売上も前年から約6割増と持ち直しましたが、まだ本格回復とはいえませんでした。
転機となったのは2023年3月期です。入園者が大幅に戻り、売上4,831億円(前年比+75%)・経常利益1,118億円とV字回復。チケット価格の見直しやグッズ販売の好調で、純利益807億円とコロナ前を上回る過去最高益を達成しました。
2024年3月期は、開園40周年イベントとインバウンド需要の戻りでさらなる成長。売上6,185億円(+28%)、経常利益1,660億円と2年連続で最高更新しました。新しい有料ファストパスや記念グッズが好調で、自己資本比率も70%前後と堅実な財務体質です。
最新の2025年3月期も増収を維持し、売上6,794億円・経常利益1,733億円・純利益1,241億円と再び過去最高を更新。ただし、人件費や電気代の上昇、新エリア開業に伴う設備費の増加で、利益の伸びは小幅にとどまりました。
それでも平均客単価は1万7,833円と過去最高を記録し、高単価経営が定着。創立65周年の記念優待パスポートも話題を集め、成長と話題性の両面で注目の決算となりました。
事業内容とセグメント別動向
オリエンタルランドの事業は大きく3つの柱で構成されています。
中核となるのはテーマパーク事業で、東京ディズニーランド(TDL)と東京ディズニーシー(TDS)の運営を中心に、全体売上の約8割を占める主力セグメントです。
次に、ホテル事業が約15〜17%、残り約3%をその他事業(商業施設やモノレール運営など)が占めます。
2025年3月期の実績を見ると、テーマパーク事業5,521億円(構成比81%)、ホテル事業1,105億円(16%)、その他事業168億円(3%)と、依然としてテーマパーク事業が圧倒的な収益源です。
テーマパーク事業(主力事業)
東京ディズニーランドと東京ディズニーシーの運営を担う中核事業で、OLCグループの収益の柱。
2018〜2019年度には年間3,000万人を超える入園者を誇りましたが、近年は「入園者数の平準化」を掲げ、混雑緩和と体験価値の向上を重視。チケット価格の段階的引き上げや有料サービス導入により、ゲスト1人当たり売上高は2025年3月期に過去最高の17,833円となりました。
また、2024年6月にTDSで開業した新エリア「ファンタジースプリングス」は、『アナと雪の女王』『塔の上のラプンツェル』『ピーター・パン』の世界を再現した大型投資プロジェクト。併設の「東京ディズニーシー・ファンタジースプリングスホテル」も同時開業し、集客・滞在価値の両面で効果を発揮しています。
今後も高付加価値サービスや新アトラクション開発を通じて、客単価と満足度の両立を図る方針です。
ホテル事業
子会社のミリアルリゾートホテルズが運営する5つのディズニーホテル(アンバサダー、ミラコスタ、ディズニーランドホテル、トイ・ストーリーホテル、ファンタジースプリングスホテル)に加え、提携ホテル(セレブレーションホテル、浦安ブライトンホテルなど)を含む計9施設を展開。
2025年3月期のホテル事業売上は1,105億円と過去最高を更新。宿泊需要の回復により客室稼働率は95%前後とほぼ満室状態です。新ホテルの通年稼働により、今後は客室単価(ADR)のさらなる上昇も見込まれています。
ホテル部門は営業利益率がテーマパーク事業を上回る傾向にあり、グループ全体の利益率向上に大きく貢献しています。
その他事業
商業施設「イクスピアリ」やモノレール「ディズニーリゾートライン」の運営、キャラクターライセンス事業、EC販売などを含むセグメント。
2025年3月期の売上は168億円、営業利益は6.25億円と小規模ながら、グループ全体を支える重要な補完事業です。
近年は公式オンラインストアを通じたグッズ販売が伸びており、物販収益のオンライン化が進行。モノレールや商業施設の運営費上昇によるコスト増はあるものの、スポンサー収入やEC事業の拡大で安定的な利益を維持しています。
売上構成比(2025年3月期)
| 事業区分 | 売上高(億円) | 構成比 | 主な内容 |
|---|---|---|---|
| テーマパーク事業 | 5,521 | 81% | TDL・TDSの運営、グループ5社の関連業務(設備・警備など) |
| ホテル事業 | 1,105 | 16% | ディズニーホテル・提携ホテルの運営 |
| その他事業 | 168 | 3% | イクスピアリ、リゾートライン、ライセンス、EC等 |
| 合計 | 6,794 | 100% | — |
このように、オリエンタルランドは「パーク」「ホテル」「商業施設・交通」を一体運営することで、舞浜エリア全体を“滞在型エンターテインメントリゾート”として成長させています。特に新エリア開業とホテル拡充により、今後もグループ全体のシナジー強化と高収益化が期待されています。
業界の将来性・成長余地、リスクとトピック
テーマパーク業界の展望
日本のテーマパーク市場は、新型コロナ禍からの回復を経て、再び拡大局面にあります。観光庁の統計によると、2024年度のインバウンド(訪日外国人)旅行者数はコロナ前の水準を超え、特にアジア圏からのレジャー目的の訪日が急増しました。円安の長期化も追い風となり、海外観光客にとって日本のテーマパークは「割安な高品質体験」として注目を集めています。
こうした中、「東京ディズニーリゾート(TDR)」を運営するオリエンタルランド(OLC)は、ディズニーブランドの圧倒的な集客力とエンターテインメント創出力で国内市場を独占的にリードしています
。国内競合としてはユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ、大阪)が存在するものの、USJは非上場で比較が難しく、またサンリオピューロランドや富士急ハイランドなどの中堅施設とは規模が一線を画しています。
結果として、日本の東側のテーマパーク業界は実質的に「ディズニー vs その他」の構図となっており、OLCの存在感は依然として圧倒的です。
成長余地とリスク要因
今後の成長ドライバーは、単純な入園者数の拡大ではなく、「1人あたり消費額(客単価)」の上昇にあります。OLCは入園者数に上限を設け、快適な体験と顧客満足度を維持する方針を明確にしています。そのうえで、価格戦略とサービス拡充による高付加価値化を推進。
具体的には、チケットの変動価格制(ダイナミックプライシング)導入、有料グリーティングやショー予約などのプレミアムサービス拡大、さらに公式アプリを通じたモバイルオーダー・EC販売の強化など、デジタル経由の収益源が増加しています。
実際、2025年3月期決算では平均客単価が17,833円と過去最高を更新し、物価上昇局面でも値上げが受け入れられるブランド力の強さを示しました。
また、円安効果により海外からの来園者数も増加中です。観光庁によると、訪日外国人のうち「テーマパーク訪問」を目的とする割合は2024年度に過去最高を記録。特にアジア圏の家族旅行・団体ツアーでTDRの人気が再燃しており、今後もインバウンド需要の本格回復が業績を押し上げる見通しです。
一方で、リスク要因も存在します。まず人件費やエネルギーコストの上昇、新エリア開業に伴う減価償却費の増大など、固定費負担が重くなっています。
また、消費者物価上昇による「レジャー支出の抑制」リスクや、台風・地震など自然災害による営業停止リスクも無視できません。さらに、人手不足が進む中でキャスト確保と待遇改善の両立も中長期的課題です。
OLCはこうした環境変化に対応し、高収益のホテル事業拡大や自動化・効率化投資(デジタル入園、キャッシュレス精算、スマート在庫管理など)を進めることでコスト上昇を吸収。今後も価格改定と付加価値戦略の両輪で安定的な利益成長を目指しています。
業界トピックとOLCの立ち位置
近年のトピックとして、テーマパーク業界全体でDX(デジタルトランスフォーメーション)が急速に進展しています。
OLCも先駆的にデジタル技術を活用しており、公式アプリでのチケット予約・アトラクション抽選・レストラン予約・モバイルオーダーなど、来園体験を一気通貫で管理できる仕組みを構築。入園時の顔認証システムも導入が進み、利便性とセキュリティの両立を図っています。
さらに注目されるのが、OLCが2024年以降に構想している新規クルーズ事業。ディズニーキャラクターをモチーフにしたクルーズツアーを展開し、海上でも“夢と魔法の時間”を提供する計画です。これにより、テーマパークにとどまらず「体験型エンターテインメント企業」としての領域拡大を目指しています。
総括:ブランド力を軸に、安定成長フェーズへ
オリエンタルランドは、国内レジャー市場が成熟化する中でも、ディズニーブランドという圧倒的な無形資産を武器に、“客単価の最大化×体験価値の深化”で他社を寄せつけないポジションを確立しています。
円安によるインバウンド需要の追い風、ホテル事業の収益拡大、そしてデジタル戦略の進化によって、同社は「安定成長+持続的利益拡大」の両立を実現しつつあります。
一方で、運営コスト上昇や労働力確保といった課題も抱えますが、堅実な財務基盤と高いブランドロイヤルティに支えられ、長期的な成長余地は依然として大きいと考えられます。
競合他社との比較(サンリオ・富士急行)
直近の通期業績指標で、オリエンタルランドと関連企業を比較してみます。以下の表では売上高・経常利益(税引前利益)・営業利益上昇率(前年比)・自己資本比率・ROE・PBR・PERを並べました(単位:売上高・経常利益は億円、その他は%、倍)。
要点
OLCは“体験×価格”で独走。サンリオはIP収益、富士急は地域観光で差別化。
| 企業名 | 売上高 (億円) |
経常利益 (億円) |
営業利益上昇率 (%) |
自己資本比率 (%) |
ROE (%) |
PBR (倍) |
PER (倍) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| オリエンタルランド(4661) | 6,794 | 1,733 | +4.0 | 67.9 | 12.7 | 4.9 | 38.9 |
| サンリオ(8136) | 1,449 | 534 | +92.2 | 52.9 | 39.0 | 15.3 | 35.8 |
| 富士急行(9010) | 522 | 81 | +2.4 | 35.3 | 15.2 | 3.7 | 25.8 |
競合解説
サンリオ(8136)
「ハローキティ」など世界的キャラクターを擁する老舗キャラクタービジネス企業で、グッズ・ライセンス・イベントを軸に展開。自社運営のテーマパーク「サンリオピューロランド」「ハーモニーランド」も黒字化し、海外ライセンス収入の伸びが業績を牽引。
→ 2025年3月期は売上1,449億円・ROE39%・営業利益率高水準と、キャラIP企業として異例の高収益を実現。
富士急行(9010)
鉄道・バスなどの運輸業を基盤に、山梨県の人気遊園地「富士急ハイランド」やホテル・不動産事業を展開。
観光需要の回復を追い風に、テーマパーク入園者数はコロナ前を超えて過去最高を記録し、安定した成長を維持。
→ 2025年3月期は売上522億円・ROE15%・PBR約3.7倍と、堅実経営ながら成長余地を残す構造。
*サンリオはIP(知的財産)型・富士急行は地域観光型と、ビジネスモデルの方向性が明確に異なっています。
中期経営計画・成長戦略の分析|2035年に売上1兆円へ
オリエンタルランドは、2024年度までの中期経営計画で「コロナ禍からの回復」と「次の成長への土台づくり」を進め、想定を上回る成果を上げました。
そして2025年度からは、新たな長期ビジョンとして「2035年に売上高1兆円超」を掲げ、10年先を見据えた成長戦略をスタートさせています。
この長期戦略の柱は、以下の3つです。
① ゲスト体験価値の向上
OLCの最優先テーマは、「来園者の満足度をどこまで高められるか」。
老朽化したエリアやアトラクションのリニューアル、新規ショー・季節イベントの拡充など、常に“新しい発見があるパークづくり”を進めています。
具体的には、一部エリアの大規模再開発構想や、待ち時間を減らすためのデジタル活用(スタンバイパスやプレミアアクセスの拡充)などが検討中です。
また、入園者数を制限しつつ「変動料金制」で来園を分散させることで、混雑緩和と体験価値の両立を図っています。
② 成長投資と新事業への挑戦
2020年代後半から2030年代にかけて、数千億円規模の大型投資を予定。
パークの新エリア開発や既存施設の拡張を通じて、2030年代のさらなる集客力アップを狙います。
加えて、新たな柱として注目されているのが「ディズニークルーズ事業」です。
中型のラグジュアリー客船を導入し、ディズニー作品の世界観を体験できるクルーズツアーを2025〜2026年ごろに開始予定。
陸上だけでなく“海上でもディズニー体験を提供”することで、新たな収益源の創出を目指します。
③ 財務戦略と株主還元
成長投資を最優先しつつも、株主への還元姿勢も強化しています。
2030年ごろまでに営業キャッシュフロー3,000億円規模(2029年度目標)の創出を目指し、その範囲で投資と配当をバランスよく実施。
また、ROEのさらなる向上を掲げ、自社株買いや増配にも積極的な姿勢を示しています。
実際、創立65周年を記念した特別株主優待パスポートの配布や、3期連続の増配など、株主への利益還元を継続中です。
今後の展望と注目ポイント
OLCは「2025~2035年の10年間で売上1兆円・営業キャッシュフロー3,000億円達成」という明確な青写真を描いています。
今後の焦点は、投資によってどれだけ来園者満足度と客単価を高められるか、そして新事業(特にクルーズ事業)がどの程度収益柱に育つかです。
ディズニーブランドという圧倒的な強みと、業界トップの財務体質を武器に、OLCは次の10年で“テーマパーク運営企業”から“総合エンターテインメント企業”へと進化を遂げようとしています。
リスク・環境変化を踏まえた“現状分析”からわかる強み、弱み
強み
① 圧倒的なブランドと世界観の再現力
ウォルト・ディズニー社との提携による“日本唯一のディズニーパーク運営権”が最大の武器。
映画の世界を忠実に再現した圧倒的な没入体験が、訪れるたびに“想像を超える体験”を提供し、リピーターを生み出しています。
他のレジャー施設が価格競争に陥る中で、OLCは「非日常という価値」を売ることで独自の地位を築いています。
② 高い集客力と価格支配力(プライシングパワー)
年間3,000万人規模の入園者を抱え、値上げ後も需要が落ちにくい強いブランドロイヤルティが特徴。
円安によるインバウンド需要の増加も追い風となり、チケット・ホテル・グッズなどあらゆる分野で価格調整がしやすい環境にあります。
インフレ局面でも利益を確保できる「価格主導型のビジネスモデル」が確立しています。
③ 高収益体質と強固な財務基盤
営業利益率25%前後、自己資本比率70%、実質無借金経営と極めて健全。
潤沢なキャッシュフローを背景に、数千億円規模の投資を自己資金で賄える体力があります。
この安定した財務力が、長期成長と新事業への挑戦を支える土台となっています。
弱み
① 事業の一極集中と外部リスク
全収益を東京ディズニーリゾートに依存しており、自然災害・感染症・停電など外的要因に脆弱。
コロナ禍での長期休園のように、外部リスクがそのまま経営に直撃する構造的リスクがあります。
地理的・事業的な分散が難しいため、新事業によるリスクヘッジが課題です。
② 成長の限界と“飽き”への対応
入園者数はすでに物理的限界に近く、急拡大は見込みにくい段階。
今後は新エリアや季節イベント、ショーなどで“飽きさせない仕掛け”を継続的に提供する必要があります。
OLCの成長は「数」ではなく、「体験の質」をどこまで深化できるかにかかっています。
③ コスト上昇とライセンス依存
インフレや円安に伴い、人件費・エネルギー費・減価償却費が増加中。
一方で、ライセンス料を米ウォルト・ディズニー社に支払う構造上、自社での価格統制に限界があります。
中長期的には、ホテル・クルーズなど自社発のブランド価値創出が求められます。
まとめ|値上げ耐性と外部リスク
オリエンタルランドは、コロナ禍で一度大きく落ち込んだ業績を見事に立て直し、再び過去最高益を更新しました。
その背景には、単なる「人気テーマパーク」ではなく、ブランドを通じて体験価値を高め続ける経営姿勢があります。
入園者数を無理に増やさず、“混雑を抑えて満足度を上げる”という戦略を貫く姿勢は、ほかの企業には真似できません。
現在は、ファンタジースプリングスの開業やホテル拡張を経て、舞浜という一つの街全体が「滞在型リゾート」として進化しています。
加えて、ディズニークルーズ構想など、海上でも夢を届けようとする試みは、テーマパーク企業の枠を超えた挑戦といえるでしょう。まさに“夢の国”を支えるための、現実的で綿密な経営の積み重ねが今のOLCを形づくっています。
(個人的にはこのディズニークルーズがさらなる体験価値上昇をさせてくれるのでは?という期待があります。)
もちろん、人件費やエネルギーコストの上昇、ライセンス契約に伴う制約など、課題もあります。
しかし、自己資本比率70%超という堅牢な財務基盤と、高いブランドロイヤルティがあれば、これらのリスクにも柔軟に対応できるはずです。
「夢の国のチケットがもらえる株」というだけでなく、日本が誇るエンターテインメント企業に投資するという視点で見ても、オリエンタルランドは非常に魅力的です。
ディズニー好きのひいき目に見ても、株主優待で“夢の国”を体験しつつ、企業としての進化を応援できるのは、まさに投資の醍醐味ではないでしょうか。
個人的に監視する今後のKPI
- ゲスト1人あたり売上高:17,000円超維持→単価戦略が効いている目安
- 営業利益率:20〜25%維持→コスト上昇吸収が順調
- 営業キャッシュフロー:2,000〜3,000億円→投資+還元の両立可能
- ROE:12〜15%→資本効率良好、過度な希薄化なしを確認
いずれも決算短信、説明資料、で分かります。
第2四半期(2025年4月~9月) まとめ
2025年10月に発表されたオリエンタルランドの中間決算(2025年4〜9月期)は、増収増益で過去最高水準を維持する堅調な内容でした。
数字だけを見ると、決して悪い決算ではありません。それどころか、“客数を増やさずに利益を伸ばす”新しい経営段階に入っていることが感じられる内容です。
決算の概要(2025年4〜9月)
- 売上高:3,162億円(前年同期比+6.4%)
- 営業利益:682億円(+8.0%)
- 経常利益:693億円(+8.3%)
- 純利益:483億円(+6.1%)
- 来園者数:約1,225万人(+0.4%)
- ゲスト1人あたり売上高:18,196円(+5.2%)
- 自己資本比率:73.0%(財務は極めて健全)
内容を読み解く:数字以上に見えてきた“変化”
決算の内訳を見ると、来園者数はほぼ横ばいでしたが、1人あたり売上高が前年を5%以上上回り、過去最高を更新しました。
チケット価格の変動制(ダイナミックプライシング)、有料パスの導入、グッズ・レストラン売上の拡大など、「体験の質を上げて単価を上げる」方向がうまく機能しています。
また、ホテル事業も絶好調で、宿泊稼働率はほぼ満室。特に「ファンタジースプリングスホテル」の稼働がフルに寄与したことが収益を押し上げました。
つまり、OLCはもはや「入場者数依存のビジネス」から、「単価と滞在価値で稼ぐモデル」に進化しています。
それでも株価が下がった理由
では、なぜこれだけ良い決算なのに、発表後に株価が下がったのか。
主な理由は「期待値とのズレ」です。
市場は“予想に反した前期並みの力強さ”を期待していましたが、実際は堅実な増収増益にとどまりました。
来園者数が横ばいであることから、「次の成長ドライバーが見えにくい」と判断されたとも考えられます。
さらに、来期(2026年3月期通期)見通しが横ばい〜微減益予想だったことも重なり、「ピーク感」を意識した売りが出たとみられます。
一方で、決算の中身を精査すれば、コスト上昇を吸収しつつ利益率を維持しており、事業そのものの基調は良好。
“株価の下落=業績悪化”ではなく、「良い決算でもハードルが高すぎた」というのが個人的な感想です。
首相の発言を端に発した、中国との関係悪化の時期から、また一段と下げています。
まとめ:数字は堅調、株価は“期待先行”の反動
オリエンタルランドの最新決算は、内容そのものは非常に安定しており、事業構造の成熟が進んでいます。
株価が下がったのは「悪化」ではなく、「市場が期待しすぎていた」反動です。
むしろ、入園者数が頭打ちでも利益を出せる企業体質を示した点で、長期投資家にとってはポジティブです。
“夢の国”の運営は、今や「数」ではなく「質」を競うステージへ向かうのかもしれません。
個人的なKPI評価
- ゲスト1人あたり売上高:18,196円(目安17,000円超)
物販・飲食・有料サービスの拡大で過去最高。価格戦略がしっかり機能。 - 営業利益率:約21.6%(目安20〜25%)
高コスト環境でも安定した利益を確保。持続可能な水準を維持。 - 営業キャッシュフロー:年間換算で約2,800億円(目安2,000〜3,000億円)
大型投資と株主還元を両立できる余力あり。財務の柔軟性も高い。 - ROE(自己資本利益率):約13%(目安12〜15%)
資本効率は安定。過度なレバレッジに頼らず堅実な経営基盤。
投資は自己責任でお願いします。
「※東京ディズニーランド®/東京ディズニーシー®は The Walt Disney Company の登録商標です。本記事は投資情報の提供を目的とし、企業・権利者との提携を示すものではありません。」
出典、参考資料
オリエンタルランド|株主優待制度(通常・長期・注意事項)
https://www.olc.co.jp/ja/ir/benefit.html
決算短信(IR資料室)トップ
https://www.olc.co.jp/ja/ir/library/financial.html
2025年3月期 決算短信(連結・PDF)
https://www.olc.co.jp/ja/news/news_olc/auto_20250425524297/pdfFile.pdf
東京ディズニーシー|ファンタジースプリングス(公式)
https://www.tokyodisneyresort.jp/special/en/fantasysprings/
東京ディズニーシー・ファンタジースプリングスホテル(公式)
https://www.tokyodisneyresort.jp/en/hotel/fsh.html
東京ディズニーリゾート|チケット(価格カレンダー・購入)
https://www.tokyodisneyresort.jp/ticket/index.html
(英語版)https://www.tokyodisneyresort.jp/en/ticket/index.html
JNTO|訪日外客統計
https://www.jnto.go.jp/statistics/data/visitors-statistics/
観光統計データ(インバウンド動向の要約)
https://www.tourism.jp/tourism-database/stats/inbound/
JPX Money Bu|オリエンタルランドの株式5分割(背景解説)
https://money-bu-jpx.com/news/article063314/
(参考)訪日客の記録更新に関する国際記事
https://www.reuters.com/markets/asia/japan-gets-record-349-mln-visitors-december-capping-new-annual-high-2025-01-15/

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