最近のビジネスマンや若者の間では、銀行選びの基準が変わってきているという話をネットやメディアで見かけることがあります。
「家の近くに支店があるか」よりも、スマホで完結して使いやすいか、金利や手数料でどれだけ差が出るかを重視する人が増えましたというものです。私自身もそうですが、支払い手段がクレジットカードやQRコードに移行したことで、普段の生活で銀行に行く機会はほとんどなく、アプリの使い勝手がそのまま満足度につながっています。
その中で存在感を高めているのがネット銀行です。実店舗をほとんど持たない分、コストを抑えられ、その分を預金金利の高さや振込・ATM手数料の優遇として利用者に還元できるのが強みです。
メガバンクや地銀の普通預金金利が低水準にとどまる中、ネット銀行では「0.2%〜0.6%台」が比較対象になる時代になりました。預けているだけで差がつくのは、正直かなり大きいですよね。
さらに最近は、通信会社と銀行の動きも活発です。
銀行関連を持っていなかったNTTドコモも、住信SBIネット銀行を連結子会社化し、銀行事業へ本格的参入する準備を行っています。サービス名も「d NEOBANK」へ、変更しドコモ経済圏向けに展開される構想です。
すでに楽天は楽天銀行、KDDIはauじぶん銀行、ソフトバンクはPayPay銀行を展開しており、通信大手4社すべてがネット銀行系を関連企業に持つ時代がやってきました。
スマホアプリ、ポイント、決済と銀行を一体で使わせる“経済圏競争”は、今後さらに激しくなっていくでしょう。
こうした環境の中で、注目したいのがSBI新生銀行です。SBI新生銀行はこの4社とは関係ないのでは?と思った方もいるでしょう。しかし、ネット銀行という点では顧客層は競合関係にあり、自身が使っていて良いと思えたので今回紹介する形で調べていきます。
SBI新生銀行は、もともと新生銀行として再建の歴史を歩んできましたが、SBIグループ入りを経て、方向性がかなりはっきりしてきました。個人的に思うのは、「使う人を選ぶ代わりに、ハマる人にはとても便利」という立ち位置です。
実際、SBI証券を使っている人にとっては相性が良く、口座連携による資金移動のしやすさや、優遇プログラムの分かりやすさは大きな魅力です。預金金利も一般的な銀行より高めに設定されており、「とりあえず資金の置き場」としても使いやすいと感じる人は多いと思います。
この記事では、そんなSBI新生銀行について、
会社概要・業績推移・サービスの特徴・ネット銀行との違い・競合比較・強みと弱みまで、投資目線と利用者目線の両方から、できるだけわかりやすく整理していきます。
「SBI証券を使っているけど、銀行はどうしよう?」、「d NEOBANKのシステム変わるしどうしようかな」と考えている方の参考になれば嬉しいです。
先にSBI新生銀行の口座開設に興味を持った方へ *企業紹介に興味がある方は会社概要からどうぞ
まとめ|SBI新生銀行が向いている人
結論から言うと、現在のSBI新生銀行は「万人向け」というよりは、合う人にはかなり便利な銀行だと感じました。
特に、次のような方は相性が良いはずです。
・SBI証券をすでに使っている(資金移動をラクにしたい)
・メイン口座とは別に、貯蓄用/投資待機資金用の口座を持ちたい
・支店よりも、スマホで完結する使いやすさを重視したい
・普通預金金利が低い銀行から、そろそろ見直したい
・d NEOBANKを使っているが、次回改定のランク制度で振り込み回数の面で不利になる
逆に、「対面相談が必須」「店舗での手続きが絶対」という方は、そこまで向かないかもしれません。
もし悩んでいる内容で「自分は当てはまるかも」と思ったら、口座開設ページを一度見ておくだけでもサービスの方向性がつかめます。
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会社概要|再建の歴史から“グループ中核”へ変わったポイント
SBI新生銀行は、東京都中央区日本橋室町に本店を構える普通銀行です。前身は1952年設立の日本長期信用銀行で、経営破綻と再生という大きな転換点を経て、2000年に「新生銀行」として再スタートしました。そして2023年1月、SBIホールディングスの傘下に入り、現在の「SBI新生銀行」へと社名を変更しています。
長い歴史の中で再生を経験してきた同行の特徴は、「変化への適応力」にあります。SBIグループ入り以降は、“銀行をもっと使いやすく、もっと身近に”という姿勢を打ち出しており、従来の銀行像にとらわれない経営を志向しています。
例えるなら「ネット銀行の利便性と、銀行本来の機能を両立するハイブリッド銀行」といった位置づけでしょうか。
組織としては、個人・法人を問わず幅広い金融ニーズに応える総合銀行であり、銀行単体にとどまらずグループ一体で金融サービスを提供している点が特徴です。2025年時点でSBIグループ会社は約45社にのぼり、信販、カード、消費者金融なども含めた金融グループを形成しています。
連結従業員数は約5,700名規模と、メガバンクほど巨大ではありませんが、その分、人件費面などでは柔軟に対応できます。
拠点面では、国内の支店数は23支店・2出張所(2025年時点)と控えめです。これは縮小ではなく、「リアル店舗に依存しない銀行モデル」を選択している結果です。早くからインターネットバンキングに注力し、IT投資を優先してきたことで、ネット専業銀行に近い操作性とサービス水準を実現しています。
規模感としては、メガバンクには及ばないものの、独立系中堅銀行としては十分な存在感があります。2025年3月期の連結経常収益は約6,140億円、総資産は約20兆円規模と、経営基盤は安定しています。SBIグループ入り後は、証券・保険との連携や地域金融機関との協業など、「単体ではできなかった戦略」に踏み込める環境が整いました。
過去の業績推移
下表はSBI新生銀行の過去5期(2021年3月期~2025年3月期)の主要業績指標をまとめたものです。売上高(経常収益)および経常利益は有価証券報告書等に基づく連結実績値、ROEは各期末時点の数値です(PERは各期の実績純利益に基づく終値ベース)。単位は表記のとおり。2025年12月17日の再上場時のPER.PBRを記載
要約
SBI新生銀行は、2022年の底を打って以降、売上・利益・収益性がそろって改善している。今年度の2026年は売上高、経常利益共に最高益。
| 年度 | 売上高 (億円) | 経常利益 (億円) | 自己資本比率 (%) | ROE (%) | PBR (倍) | PER (倍) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2021年3月期 | 3,742 | 444 | 8.6 | 4.89 | ||
| 2022年3月期 | 3,733 | 283 | 8.9 | 2.22 | ||
| 2023年3月期 | 4,219 | 521 | 7.0 | 4.45 | ||
| 2024年3月期 | 5,308 | 611 | 6.0 | 6.02 | ||
| 2025年3月期 | 6,140 | 778 | 9.3 | 8.84 | 1.42 | 17.2 |
わかりやすい解説
2021年から2022年にかけては、売上高が横ばい、経常利益とROEが大きく落ち込んでおり、収益力の弱さが目立つ時期でした。この時点では、まだ「立て直し途中の銀行」という印象が強かったと言えます。
しかし、2023年3月期を境に流れが変わります。
売上高は再び成長軌道に乗り、経常利益も大きく回復しました。この期は、業績が底を打ち、SBIグループ入り後の経営体制が数字として表れ始めた転換点と位置づけられます。
こうしたタイミングでSBIグループが2023年にTOBを実施し、非公開化に踏み切ったことで、短期的な株価や四半期ごとの市場説明に左右されることなく、中長期視点でのグループ戦略を優先できる環境が整いました。具体的には、システム統合や商品ラインナップの再編、人員・拠点の最適化など、銀行単体では進めにくい構造改革を一体的に推進しやすくなったといえます。
また、新生銀行は過去の経緯から、預金保険機構や整理回収機構といった政府系機関が関与する、やや特殊な株主構成を抱えていました。非公開化は、こうした歴史的な「残課題」を含めた資本政策や経営整理を進めるうえでも合理的な選択であり、将来的な成長戦略を描くための土台づくりという側面もあったと考えられます。
2025年3月期は、売上高6,140億円、経常利益778億円と過去最高水準を更新しました。PBRも1倍を超え、株式市場からの評価が「再生企業」から「普通に稼げる銀行」へと切り替わり、2025年12月に再上場という流れにつながりました。
ネット銀行拡大時代の銀行業界|チャンスとリスクを整理
日本の銀行業界は、長い間「成長しにくい業界」と言われてきました。理由はとても単純で、金利がほとんどゼロだったからです。銀行は「預かったお金を貸して、その差で利益を出す」仕事ですが、金利が動かなければ儲かりません。
しかし最近、この前提が変わり始めています。
日銀が金融政策を見直し、少しずつ金利を上げる方向に動いているため、銀行にとっては久しぶりの追い風が吹いています。一方で、ネット銀行の台頭や競争の激化など、新しいリスクも同時に大きくなっています。
金利上昇がもたらす成長機会と、ネット銀行の拡大
金利が上昇すると、銀行は貸出金利を引き上げやすくなり、利ざやの改善が期待できます。特に、集めた預金を積極的に貸し出している銀行ほど、この恩恵を受けやすく、金利上昇は収益拡大の直接的な要因になります。
これは、長年低金利に苦しんできた銀行業界にとって、久しぶりの成長機会です。
ただし、金利上昇は同時にコスト増加も意味します。預金は銀行にとって「調達資金」であり、金利が上がれば預金金利も引き上げざるを得ません。特に競争が激しいネット銀行では、預金獲得のために高金利を提示する動きが強まり、結果として銀行間の”利ざや競争”はより厳しくなります。(この恩恵に預かろうしているのが我々ですが)
この流れの中で存在感を高めているのが、楽天銀行や d NEOBANK(住信SBIネット銀行)といったネット銀行です。
これらの銀行は、支店をほとんど持たず、アプリ中心で業務を完結できています。このため、固定費を抑えやすく、金利や手数料、UI(使いやすさ)で利用者に還元し、若年層を中心に口座数を伸ばしてきました。
今後の成長のカギは、「金利環境」そのもの以上に、どの銀行が日常的に使われる金融アプリとして定着できるかに移りつつあります。ここで鍵となるのが、ポイントによる囲い込みであり、携帯の経済圏となるわけです。銀行は単なる預金・貸出の場から、生活インフラの一部へと役割を変えようとしているのです。
メガバンク・地銀・SBI新生銀行の立ち位置と構造的リスク
一方で、銀行業界には依然として明確なリスクが存在します。競争が過度に激化すれば、預金金利だけが上昇し、貸出金利に十分転嫁できず、利ざやが圧迫される可能性があります。また、サービスの横並び化が進めば、手数料収入も得にくくなり、経営効率の差がより重要になります。
メガバンクは、大企業向け融資や海外事業、投資銀行業務など多様な収益源を持っているため、比較的安定したポジションにあります。一方、地方銀行は人口減少や地域経済の縮小といった構造問題を抱えており、デジタル化とコスト削減が進まなければ、競争力を維持するのは難しい状況です。
こうした中でSBI新生銀行は、メガバンクでもネット専業でもない独自の立ち位置にあります。普通銀行としての業務範囲や一定の店舗網を持ちながら、ネット銀行並みの利便性を追求する「ハイブリッド型」の戦略を採っています。さらに、SBIグループの証券・投資機能と連携できる点は、他行にはない強みです。
競合他社との最新業績比較(2025年3月期)
まず前提として、SBI新生銀行は「ネット専業銀行」ではなく普通銀行です。
そのため、売上高や利益規模は他のネット銀行と単純比較できない点はありますが、今回の話の流れとして比較対象として適切なため、収益性・成長率・資本効率の違いを見るという視点で比較していきます。d NEOBANKは上場廃止前のSBI住信ネット銀行を参考に比較していきます。単位は表のとおり。ROE.PER.PBRは期末のデータを参考にしています。メガバンクとして最近ネット証券に力を入れている三菱UFJ銀行を参考入れました。経常収益は売上高と表記
要約
高成長を取りに行くなら楽天銀行・d NEOBANK、圧倒的な安定性なら三菱UFJ銀行、その中間で「成長と安定のバランス」を狙えるのがSBI新生銀行という構図
| 銀行名 | 売上高(億円) | 経常利益(億円) | 利益成長率(前年比%) | ROE(%) | PBR(倍) | PER(倍) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| SBI新生銀行 | 6,140 | 778 | +27.4 | 8.8 | 1.42 | 17.2 |
| 楽天銀行 | 1,845 | 715 | +47.9 | 16.8 | 3.7 | 19.5 |
| d NEOBANK | 1,465 | 382 | +9.6 | 16.6 | 4.2 | 21.6 |
| 三菱UFJ銀行 | 13.6兆 | 2.7兆 | +24.8 | 9.1 | 1.13 | 12.57 |
会社概要
楽天銀行
楽天銀行は、楽天グループの巨大な経済圏を背景に成長してきた国内最大級のネット銀行です。
ポイント連携やEC・証券との一体運営により、若年層から投資層まで幅広い顧客基盤を持っています。
→2025年3月期は売上・利益ともに高成長を維持し、ROE16.8%とネット銀行らしい高い資本効率が際立っています。
d NEOBANK(住信SBIネット銀行)
d NEOBANKは、住信SBIネット銀行を基盤にNTTドコモと連携したデジタル特化型銀行です。
銀行機能を外部に提供するBaaS(Banking as a Service)に強みを持ち、金融インフラ色が濃いのが特徴です。
→利益成長率はやや落ち着いているものの、ROE16.6%と高水準を維持し、効率重視のビジネスモデルが数字に表れています。
三菱UFJ銀行
三菱UFJ銀行は、国内最大級の金融グループであるMUFGの中核を担うメガバンクです。
法人金融・海外事業・決済・投資銀行業務まで幅広く展開し、圧倒的な規模と安定感を誇ります。
→2025年3月期は売上・利益ともに桁違いの水準で、ROE9.1%と安定性重視ながら金利上昇の恩恵を着実に取り込んでいます。
中期経営計画|SBI新生銀行の戦略を投資目線で読む
――「再生」から「SBIグループの稼ぐ中核」へ
SBI新生銀行は、SBIグループ傘下入り後の2022年に、中期経営ビジョンを大きく描き直しました。
その方向性は明確で、単なる「新生銀行の再建」ではなく、SBIグループ全体の成長を支える中核銀行になることを目標に掲げています。
この中期経営計画は、「何を伸ばすのか」「どこを削るのか」「どうやって将来に備えるのか」という3点が、比較的わかりやすく整理されている点が特徴です。
① 収益力の強化:個人×法人で“稼げる領域”を広げる
まず軸になるのが、収益力の底上げです。
個人向けでは、SBI証券をはじめとするグループ会社との連携を前提に、資産運用分野の拡大を狙っています。NISA制度の拡充は明確な追い風であり、預金だけでなく、投資信託や外貨建て商品など「預かり資産」を増やすことで、安定した手数料収入を確保する考えです。
同時に、住宅ローンのオンライン完結や、無担保ローン「レイク」のデジタルマーケティング強化によって、貸出残高の拡大も進めています。金利上昇局面では、これらの個人ローンは利ざや改善につながりやすく、収益面での重要性が高まります。
法人向けでは、地方創生や事業承継といった分野に注力しています。SBIグループが地域金融機関と組成するファンドへの融資や、中小企業の承継ニーズへの対応は、新生銀行単体では取りにくかった案件です。ここにグループ力を活かすことで、「規模は小さいが付加価値の高い法人金融」を積み上げる戦略が見えてきます。
市場部門については、過度に市況に依存しない姿勢を明確にしています。基本は安定運用を重視しつつ、金利環境などを見極めながら柔軟にポートフォリオを調整する方針です。
② コスト構造改革:派手さはないが最重要テーマ
中期経営計画の中で、最も現実的で重要なのがコスト削減と効率化です。
SBI新生銀行は、経費率(業務粗利益に占める費用)を中期的に60%台前半まで引き下げる目標を掲げています。これは、ネット専業銀行には及ばないものの、従来型銀行としては十分に意欲的な水準です。
具体策としては、
- 有人店舗を「来店予約制のコンサル拠点」へ転換
- 本部人員の再配置による固定費削減
- SBI地銀HDと連携したシステム共同利用
などが進められています。特に注目されるのが、2026年前後を目標とした勘定系システムの刷新・クラウド化です。これは短期的には投資負担になりますが、長期的には運営コストを大きく下げる可能性があります。
銀行業では「稼ぐ力」と同じくらい、「ムダをどれだけ減らせるか」が重要であり、この分野への本気度は評価できるポイントです。
③ 財務・株主還元・DX:成長の“持続性”を作る仕組み
財務面では、ROE15%前後を中期目標として掲げています。
これは、旧来の新生銀行時代には考えにくかった水準であり、「収益力のある銀行」への転換を象徴する数字です。
自己資本については、規制水準(8%超)を維持しながら、過剰な資本は将来的に株主還元に回す方針を示しています。実際、累積損失の解消が進んだことで、今後は配当の増額や自社株買い再開が視野に入ってきました。ただし、直近では成長投資を優先しており、配当は象徴的な水準にとどめています。
DX(デジタル変革)も中期計画の重要な柱です。
AIを活用した与信審査、RPAによるバックオフィス業務の省力化など、地味だが確実に効く改革が中心です。また、ブロックチェーンやデジタル資産、キャッシュレス決済といった新分野についても、SBIグループの知見を活かしながら慎重に検討を進めています。
④ M&Aも含めた“柔軟な成長シナリオ”
SBI新生銀行の中期戦略の特徴は、単独成長にこだわらない点です。
経営陣は、M&Aなどのノンオーガニック成長も選択肢として明確に意識しています。
実際、SBIホールディングスは地方銀行の買収を進め、「SBIリージョナル銀行グループ」を拡大しています。その中で、新生銀行をグループ全体のハブ(中核)と位置付ける構想も語られています。これが実現すれば、融資機会やシステム共有によるスケールメリットは大きく広がります。
SBI新生銀行の強みと弱み
「再生を終えた銀行」は、どこで勝てて、どこが課題なのか
ここまでの分析を踏まえて、SBI新生銀行の強みと弱みを、投資目線・利用者目線の両方から整理していきます。
結論から言うと、SBI新生銀行は「現在のポジションはとても良いが、取り組むべき課題もはっきりしている銀行」です。それを踏まえて見てきましょう。
強み
①:SBIグループの中核にいること自体が競争優位
最大の強みは、やはりSBIホールディングスの金融エコシステムの中核に位置している点です。
証券・保険・運用・ノンバンクまでを一体で持つグループの銀行として、単体の銀行では不可能なクロスセルや顧客循環が可能になっています。
個人分野では、証券口座との連携によって「預金→投資→運用」をグループ内で完結できますし、法人分野では地方創生ファンドや地域金融機関との連携による案件獲得も期待できます。
さらに、SBIグループはIT活用やDXに積極的であり、新生銀行もそのノウハウや投資余力を取り込める立場にあります。
このグループシナジーは、独立系のネット銀行や地銀には真似しにくい、構造的な強みと言えるでしょう。
②:「ネット銀行 × 普通銀行」のハイブリッドモデル
SBI新生銀行は、完全なネット専業でも、昔ながらの機動性が重い銀行でもありません。
一定の店舗網や法人取引の実績を持ちながら、ネット銀行並みの利便性も追求するハイブリッド型です。
このモデルの良さは、顧客層の広さにあります。
富裕層や資産運用層には対面コンサルティングを提供しつつ、若年層や全国の個人にはネット完結型サービスで対応できます。
また、無担保ローン「レイク」という全国的なブランドを持っている点も、個人金融の裾野を広げる要因です。
楽天銀行や住信SBIネット銀行のように「尖った強み」を持つ銀行は多いですが、
個人の金融ニーズを一通りカバーできる総合力は、SBI新生銀行ならではの強みです。
③:財務体質は“再生銀行”の域を完全に脱した
もう一つ見逃せないのが、財務面の改善です。
長年の課題だった累積損失はほぼ解消され、自己資本比率も規制水準を十分に満たしています。不良債権比率も低水準に抑えられ、財務の健全性という点では、過去の破綻イメージはもはや当てはまりません。
2025年3月期には過去最高益を更新し、ROEも改善基調にあります。
これは経営改善を主軸とする「保守色の強い銀行」からリソースを集中したりすることもできる「攻守に秀でた銀行」へ移行しつつあることを示しており、中期経営計画で掲げる成長戦略を実行するための土台は、すでに整ってきています。
弱み
①:貸出規模の小ささという構造的課題
一方で、弱みもはっきりしています。
最も大きいのは、預金に比べて貸出金が少ない点です。
預金残高が約14.7兆円規模あるのに対し、貸出金は約10兆円台にとどまり、預貸率は66%前後。
資金の多くを市場運用や有価証券投資に回している状態で、
これは裏を返せば「有力な貸出先を十分に確保できていない」ことを意味します。
金利上昇局面では貸出拡大が利益成長のカギになりますが、
ここを伸ばせなければ、金利環境の追い風を最大限に活かせないリスクがあります。
SBI地銀連合による補完がどこまで実効性を持つかは、今後の注目点です。
②:ブランドメッセージがまだ定まりきっていない
もう一つの課題は、ブランドです。
「SBI新生銀行」という名称は、銀行や証券に詳しい方ほど、SBIと新生銀行という異なるイメージが一つになっていることに、少し違和感を覚えるかもしれません。
- SBI=ネット証券・投資
- 新生銀行=過去の破綻・再生
この2つのイメージが混在していることで、利用者によっては新興の銀行のように映り、「わかりやすく選ばれる理由」がまだ弱い印象を受けます。
楽天銀行の「ポイントでお得」のような一言で伝わる強みと比べると、
SBI新生銀行はメリットを丁寧に説明しないと伝わりにくい側面があります。
これは裏を返せば、ブランディング次第で評価が変わる余地が大きいとも言えますが、現時点では中長期で克服すべき弱みでしょう。
③:コスト構造はネット専業より重い
ハイブリッドモデルの代償として、完全なネット専業銀行と比べるとコスト構造は重めです。
有人店舗、コールセンター、旧来システムの維持費など、歴史ある銀行ならではの固定費が残っています。
経費率もネット銀行より高く、中期計画で掲げる効率化が実現できるかどうかが、収益力を左右する重要なポイントになります。
まとめ|「メイン」か「サブ」か?企業紹介まとめとおすすめの使い方
ここまで調べて感じたのは、SBI新生銀行は、もはや「再建中の銀行」というより、「成長の土台が整った銀行」だということです。
2022年に一度落ち込んだ後、売上・利益・ROEがそろって改善し、PBRが1倍を超えて再上場に至った流れは、数字としても順調に評価されてきた感じがあります。再生ストーリーは一巡し、これからは「本当に伸びられるか」が問われる段階に入ったと言えるでしょう。
この銀行の面白さは立ち位置の明確さです。ネット専業ほど利便性、割安感はない一方、メガバンクほどの重い運営体制でもない。店舗も残しつつ、アプリとオンライン完結を強化する“ネット銀行×普通銀行”のハイブリッドは、今の生活スタイルと相性が良いと感じます。支店の近さよりスマホの使いやすさが重視され、投資目線でも金利が動く局面での稼ぎ方が問われる今、その中間ポジションは意外と狙い目です。
一方で課題もはっきりしています。預金は厚いものの貸出が伸びきらず、資金が市場運用に回りやすい点は、金利上昇局面ではチャンスでもあり弱点でもあります。また、ネット専業と比べてコスト構造が重いため、中計で掲げる経費率改善と勘定系システム刷新が実行できるかは、今後の評価を左右する重要ポイントです。
最後に重要なのが「わかりやすさ」です。楽天銀行のような “楽天経済圏にハマる”という 分かりやすさに比べると、SBI新生銀行はまだコンセプトがわかりにくい面もあります。しかし、これは裏を返せば伸びしろでもあります。「使う人を選ぶが、ハマる人には便利」というポジションは、むしろこれからの差別化される銀行選びに合っています。
法人での使用されるかも重要ですが、個人で使用される銀行かが今後業績に大きく影響されてくるでしょう。
個人が使う口座としては万人向けのメイン口座でも十分使用できますが、金利が一般的な銀行よりも高いことを生かした貯蓄用・投資用、待機資金用のサブ口座として使うのが一番しっくりきます。特にSBI証券を使っている人なら、資金移動のしやすさや優遇制度の分かりやすさは実感しやすいはずです。
もし
「SBI証券を使っている」
「d NEOBANKの仕様変更で乗り換えを考えている」
「サブ口座を1つとして検討したい」
という方は、公式ページで口座開設の流れだけでも確認してみるとイメージしやすいと思います。
口座開設の申請も本人確認の状況によって変わりますが、オンラインで手続きが完結しやすい。
(2026年1月時点)今ならスタートアップ円定期預金ということで、3カ月物の金利が年1.00%で預けられるキャンペーンを行っています。比較的短期の元本保証で年利1.00%は中々に魅力的です。
投資は自己責任でお願いします。
出典・参考資料
SBI新生銀行「会社概要(本店所在地など)」:SBI新生銀行 公式サイト(会社概要) 日本取引所グループ
SBI新生銀行「新規上場申請のための有価証券報告書(従業員数・事業/財務データ等)」:JPX(日本取引所グループ)掲載資料 SBI新生銀行
SBI新生銀行「新規上場に関するお知らせ(上場関連)」:SBI新生銀行 ニュースリリース ネットバンク
住信SBIネット銀行「ディスクロージャー資料」:住信SBIネット銀行 公式(ディスクロージャー) SBI Group
楽天銀行「決算・統合報告書等」:楽天銀行 公式(IR/Financial Data) 楽天銀行
MUFG「財務情報(2025年3月期の決算資料への導線)」:三菱UFJフィナンシャル・グループ 公式(財務情報) MUFG
d NEOBANK(Banking as a Service等の概況確認用):住信SBIネット銀行 公式(各種開示/事業情報) SBI Group
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*本記事の数値は作成時点の数字となっております。最新の数字は自分で確認してください。

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