誰でもわかるファナック[6954]|事業構造とAIロボット時代の伸びしろとは?の話

最近ロボット関連のニュースを見ていると、「世界の工場のルールが本気で変わり始めてるな…」と感じることがあります。中国は相変わらず巨大な勢いでロボットを導入しているし、アメリカは“どこの国のロボットを使うか”まで安全保障の観点で気にし始めている。AIの進化も相まって、ものづくりの現場は今まで以上に“自動化前提”の時代に入ったんだと思うくらいまでになってきました。

そんな中で気になるのが、日本のファナックです。実は世界のロボット生産の中心にいて、CNCやサーボ、AI付きの最新ロボットまで幅広く作っている“工場の頭脳メーカー”。

最近ではフィジカルAIを前面に打ち出しニュースに取り上げられたりもしています。この企業、米中の間に挟まれつつも、どちらからも必要とされる立場にいるという、かなり独特な存在です。

この先、日本のロボット産業ってどうなるんだろう?」という素朴な疑問から、ファナックの今とこれからを少し調べてみることにしました。

目次

会社概要|どんな会社?

ファナックは、山梨・忍野村に本社を構える世界的な工場自動化メーカーです。もともと富士通のNC(数値制御)研究部門から独立した会社で、今ではCNC・サーボ・産業用ロボット・ロボマシンを軸に、世界中の工場を支える“ものづくりの心臓部”を担っています。

とくにCNCでは世界シェアNo.1を誇り、黄色いロボットの累計出荷台数は100万台を突破。海外売上が約8割を占めるなど、日本にいながら世界市場と直結している企業です。

ファナックの基本理念は「厳密と透明」。これは、長期的な企業の健全性を担保し、高信頼性の製品を継続提供するという姿勢を示しています。

また、製品開発の基本方針として、以下のような3つのキーワードを掲げています。

  • より少ない部品で作る工夫 (WENIGER TEILE):部品点数を減らすことで、構造をシンプル化し、故障率の低下とコスト低減を両立。
  • 信頼性の向上 (RELIABILITY UP):長期利用でも安定した性能を維持する設計/製造。
  • コストカット (COST CUT):同等性能の機器に比べてコストパフォーマンスに優れる。

このことからもわかるように同社の特徴は、とにかく一貫して工場自動化に特化している点です。FA・ロボット・ロボマシンを「one FANUC」という思想で自社開発し、制御から機械本体、サービスまで“閉じたエコシステム”を構築。部品点数を減らして壊れにくくする設計思想や、24時間サポートを掲げる「Service First」など、製造現場に必要な“止まらない機械”を追求し続けています。

また、富士山麓に広がる「ファナックの森」に研究開発・製造を集中させ、海外は販売・サービスに特化しています。この体制が、高品質を保ちながら世界需要を取り込む強みに直結します。近年はAIやデジタルツインなどデータ活用にも踏み込み、工場そのものを最適化する次世代プラットフォームづくりを進めています。

ロボットの需要拡大、米中対立による“信頼できる国の機械”への回帰など、外部環境が大きく動く中で、ファナックは日本が世界に誇る自動化メーカーとして確かな存在感を放っています。

過去五年の業績推移

2021〜2025年3月期までのデータを、IRバンクおよび公式決算資料のデータを元に「売上高/経常利益/ROE/PBR/PER」をまとめた表を作成します。ただし、PBR/PER は2025年期末時点の株価ベースの代表値として記載します。

要約

2024年に一時的な減速が見られたものの、2025年にはロボット需要の回復とサービス事業の拡大で反転。利益率・ROEも改善し、次の成長サイクルに向けた方向性にある。

会計年度 売上高
(億円)
経常利益
(億円)
ROE
(%)
PBR
(倍)
PER
(倍)
2021年3月期7,3301,2876.63.553.4
2022年3月期7,9532,13410.12.726.7
2023年3月期8,5202,31310.62.826.7
2024年3月期7,9531,8187.82.329.8
2025年3月期7,9711,9678.62.225.8

解説

2021年はコロナ影響が残る中で設備投資が回復しつつある年でしたが、FA・ロボマシンの需要にまだ強さがなく、売上7,330億円・経常1,287億円と控えめな水準でした。ROEは6.6%と製造業としては標準的で、市場も先行き不透明感からPERは高め(53倍)になっています。

2022年は一転して大幅な増収増益。世界的な設備投資の再加速、中国・北米のロボット需要増、半導体・スマホ関連加工向けロボマシンが伸び、経常利益は2,134億円へ急回復。ROEは10%台に乗り、PBRはやや低下し、投資家の信頼が戻った時期です。

2023年もその流れを引き継ぎ、ロボットを中心に需要が続伸。EV関連投資や物流自動化が追い風となり、経常利益は2,313億円とピーク圏を維持しました。市場も成長を織り込みPERは横ばいの26〜27倍前後で安定しています。

しかし2024年は中国の景気減速、スマホ市場の鈍化、工作機械受注の落ち込みが響き、売上・利益とも縮小。経常1,818億円、ROEは7.8%まで低下し、一時的な調整局面となりました。

2025年は設備投資の持ち直し、ロボット需要の回復、サービス事業の拡大が寄与し、売上7,971億円・経常1,967億円まで改善。ROEも8.6%へ戻し、長期的な安定成長の軌道に復帰しています。

事業内容|ファナックの事業構造をわかりやすく解説

ファナックの事業は、大きく分けてFA」「ロボット」「ロボマシン」「サービス」の4本柱で成り立っています。

2025年3月期の売上を見ると、主力のロボットに加えて、ロボマシンが大きく成長し、サービスも少しずつ存在感を高めています。

工場の頭脳となるCNCから、実際に動くロボット、加工を行うマシン、そしてそれらを支える保守・AIサービスまで、幅広い技術がファナックを支えていることがわかります。

FA事業:工作機械の「頭脳と神経」を売るビジネス

FA(ファクトリーオートメーション)事業は、

  • CNC(数値制御装置)
  • サーボモータ
  • レーザ発振器

といった、工作機械を動かす“心臓・頭脳・神経”を提供する分野です。ファナックはこのCNCで世界トップシェアを持ち、世界中のマシニングセンタや旋盤の中に「黄色いCNC」が入っています。

2025年3月期は、インド・中国などでの需要が堅調だったこともあり、FA部門の売上は約1,948億円(構成比24.4%、前期比+8%)と増収。日本・欧州はやや弱めでしたが、トータルでは持ち直しつつある印象です。

ファクトリーオートメーションは利益率が高く、“稼ぎ頭”になりやすい事業です。ここで培ったCNC技術が、ロボットやロボマシンにも横展開されることからも、「ファナックの源泉部分」と捉えておくとイメージしやすいと思います。

ロボット事業:売上の約4割を占めるメインエンジン

ロボット事業は、溶接・組立・搬送・塗装など、工場で人が行っていた作業を自動化するロボットをつくっている部門です。

  • 自動車
  • 電子部品・半導体
  • 食品・飲料
  • 医薬・化粧品
  • ロジスティクス

など、かなり広い業界で使われています。2025年3月期の売上は約3,296億円で、全体の4割強を占めています。

ただし直近は、

  • 日本:自動車&一般産業向けは堅調
  • 中国:EV関連や一般産業が一服して減速(最近の首相発言により、今後の情勢は不透明)
  • 欧米:自動車関連の投資が弱く減収(米国の追加関税・通商政策の影響)

という形で、世界全体としては前期比▲13.5%の減収になっています。

それでも、少子高齢化や人手不足、AI・自動化の流れを考えると、「長い目で見れば、最も成長ポテンシャルが大きい柱」であることは変わらないと思います。日本でも今後、AIを搭載したロボットが工場に導入されれば、人手不足、少子高齢化社会ともマッチした事業分野になっていくと思われます。

ロボマシン事業:スマホからEV・医療へ広がる“高収益マシン”

ロボマシン事業は、ファナック製の工作機械・成形機をまとめた事業です。

  • ロボドリル:スマホ筐体・金属部品などを削る小型マシニングセンタ
  • ロボショット:プラスチック部品をつくる電動射出成形機
  • ロボカット:金型などを加工するワイヤ放電加工機

かつてはiPhone向け加工需要で大きく伸び、その後スマホ市場の成熟で一時期は落ち込みましたが、2025年3月期は完全に“復活組”という印象です。

決算では、ロボドリルは主に中国での需要が堅調、ロボショットはアジア中心に好調、ロボカットは欧州はやや弱いが、米州・中国・アジアがカバーしてるというように説明されており、ロボマシン部門の売上は約1,376億円(構成比17.3%、前期比+33.1%)と大きく伸びました。

ここは、EV部品の加工、医療機器・精密部品、ロボットとの組み合わせライン(マシン+ロボット)など、“次の成長テーマ”につながりやすい領域なので、今後も決算でチェックしておきたいポイントです。

サービス事業:景気に左右されにくい“安定収入+IoT・AI”

最後にサービス事業です。ここは「売ったあと」のビジネスを担当する部門です。わかりやすくまとめると以下の三つになります。

  • 予防保全(保守サービスで壊れる前に異常を見つける)
  • IoTプラットフォーム「FIELD system Basic Package」
    → 工場の設備からデータを集めて、“見える化”する土台(ダッシュボード+データ基盤)
  • AIを使った故障予兆ツール「AIサーボモニタ」 など
    → 工作機械のモータのデータをAIで解析して、壊れる前に“そろそろ怪しいよ”と教えてくれるソフト

ファナックが掲げるキーワードは「Service First(サービスファースト/生涯保守)」。
「お客さんが使っている限り、一生面倒を見る」というスタンスで、サービスを事業としてしっかり収益化しています。

2025年3月期のサービス部門売上は約1,352億円(構成比17.0%、前期比+3.5%)と、地味ですが着実に成長しており、景気が悪くても一定の保守ニーズは続くので、業績の“安定装置”として効いているセグメントです。工場版サブスクのような位置づけと言えます。

産業用ロボット・FA市場の将来性|世界が自動化を必要とする理由

最初にも書きましたが、2025年の現在、世界の製造業はこれまでにない大きな転換点を迎えています。日本では深刻な人手不足が続き、欧州は環境規制対応のため製造ラインの見直しが不可避となり、アメリカは半導体・EVの大型投資で設備需要が膨らんでいます。

一方で中国は景気減速の波がありつつも、依然として世界最大のロボット導入国として存在感を放っています。こうした多様な変化の中で共通しているのは、「自動化はもう選択ではなく必須」という新しい常識です。

この自動化の中心にあるのが、産業用ロボットとFA(工場自動化)機器であり、その中核プレーヤーがファナックです。CNC・サーボ・ロボット・ロボマシンを一体で提供できる企業は世界的にも限られており、ファナックの“一気通貫”型のビジネスモデルは、まさに現代の製造業が求める姿です。

世界の産業構造が変わる中で高まるロボット需要とファナックの追い風

現在のロボット・FA市場は、単なる「効率化」や「コスト削減」のためだけに投資される段階を越え、社会構造そのものの変化によって支えられる成長産業になっています。

日本のように人口減少が進む国では人がいないからロボットを入れる”という状況が現実味を帯び、欧州では労働コストや法規制の厳しさが自動化需要を押し上げています。米国では巨額の補助金を背景に半導体・EV工場が次々に建設され、そこに大量のロボット・FA機器が導入される流れが続いています。

さらに近年は、AI技術の進化がロボットの価値を大きく底上げしています。従来の産業ロボットは「決められた動きを正確に繰り返す」のが中心でしたが、AIによる画像認識や動作最適化の技術が加わることで、「状況に応じて判断しながら動く」という新たな段階へ進みつつあります。

ファナックが提供する「FIELD system」のような工場全体をつなぐデータ連携プラットフォームも広がり始めており、ロボット単体ではなく“工場そのものが賢くなる”という方向性が一段と強まっています。さらに、今まで人間が行ってきた工程を入力作業も不要となる、AIが独立して最適化を図るフィジカルAIの現実味も増してきています。

こうした背景から、ロボット需要を押し上げる要因は、世界的に見ると次のように整理できます。

  • 人口減少や人手不足による「代替労働力」としてのロボット需要拡大
  • EV・半導体など、新しい産業で必要となる新規ライン投資
  • 労働コストや規制強化への対策としての自動化ニーズ
  • AIの普及により、ロボットが扱える仕事の幅が広がっていること

これらすべてが、ファナックにとっては大きな追い風になっています。CNC(工場の頭脳)・ロボット(筋肉)・ロボマシン(加工装置)をまとめて提供できる構造は、製造ラインの設計が複雑化するほど価値が増し、企業側からも「ライン丸ごと任せられる存在」としての信頼が高まっています。

特にEV部品の金属加工や高精度な樹脂成形など、ロボマシンとロボットを併用する工程では、ファナックの“一体型のものづくりソリューション”が強く求められる傾向が顕著です。

成長産業でありながら不確実性も併存する市場、そしてファナックの立ち位置

一方で、産業用ロボット市場は「長期的には伸び続けるが、短期的には揺れやすい」という特徴もあります。とくに中国の景気動向は世界中のロボットメーカーに大きな影響を与えており、中国の設備投資が減速すると、FA部門の受注が一気に細りやすい構造があります。

2023〜2024年に実際に起こったように、スマートフォン市場の停滞がロボマシン需要に波及するケースもあり、製造業全体の潮目に左右される局面は少なくありません。

さらに米中摩擦を背景としたサプライチェーン再編が進み、工場の建設地や設備投資の方向性が短期間で変わる事例も増えています。製造拠点が中国から東南アジアインドへ大きく移動すれば、販売網やサービス体制などのサプライチェーンの再構築が求められ、企業側の負荷も決して小さくはありません。

市場を揺らす要因は複数ありますが、流れを整理すると次のような形になります。

  • 地域景気の変動(とくに中国)による受注の乱高下
  • 米中摩擦など地政学的要因による設備投資の方向転換
  • 中国メーカーの台頭による価格競争圧力の増大
  • 為替変動や部品コスト高による利益率の不安定化

さらに競争環境にも大きな変化があります。ABB・KUKA・安川電機・キーエンスといった強力な競合がひしめくなか、2016年には中国メーカーの美的集団がドイツのKUKAを買収したこともあり、低価格帯のロボットで中国は急速に台頭しています。

また、協働ロボット市場ではスタートアップの存在感が増し、AI領域ではソフトウェア企業がロボット領域に参入する動きも出ています。

そのような市場環境の中で、ファナックが持つ強みは単一製品の競争に依存しない“総合力”です。FA事業で工場の頭脳を握り、ロボットで動作を担い、ロボマシンで加工工程を押さえ、さらにサービス部門で稼働を維持する。この垂直統合型の構造は、短期の需給変動があっても事業全体が大きく崩れにくい仕組みになっています。

実際、FAやロボットで落ち込みが出ても、サービス収入が利益を支えるケースは近年増えており、“波に強い企業体質”が少しずつ形になりつつあります。

それでも、為替の変動や地域景気原材料の高騰といった外部要因が利益を揺さぶりやすい点は変わりません。だからこそファナックは、協働ロボットへの注力やAIサービスの拡充、非自動車分野への進出など、外部環境に左右されにくいビジネスモデルへの転換を進めています。

これらは短期的な施策というより、長期的な市場変化を見据えた“将来への布石”と言えるでしょう。

競合との比較

下の表では、ファナックを含む主要自動化・ロボット関連企業5社の「売上高」「利益」「財務指標(ROE・PBR・PER)」を比較しています。円ベースの単位はすべて億円で統一し、その他、表のとおり、(%)、(倍)で示しています。それぞれ変動するPBR,PERは期末のデータです。決算期はそれぞれファナック(2025/3)、安川電機(2025/2)、キーエンス(2025/3)、オムロン(2025/3)、ダイフク(2024/3)です。*ダイフクは2024年12月期から決算の期末が変わっています。IFRS採用企業(例:オムロン、安川電機)は「経常利益」の代わりに「税引前利益(PBT)」を記載しています。

各社の規模感や収益性、株式市場での評価をひと目で把握できるようにまとめました。

要約

主要5社を比較すると、キーエンスが収益性で突出し、安川・ダイフクは成長性が高く、ファナックは規模と安定性のバランスに優れた“総合力型”であることが分かります。

企業名 売上高
(億円)
経常利益
(億円)
営業利益
増減率(%)
自己資本
比率(%)
ROE
(%)
PBR
(倍)
PER
(倍)
ファナック 7,971 1,967 +11.9 89.0 8.6 2.2 25.8
安川電機 5,376 784 ▲24.3 58.0 13.2 2.4 18.5
キーエンス 10,591 5,610 +8.0 94.7 12.8 4.6 35.6
オムロン 8,018 290 +57.4 56.7 2.1 1.07 51.0
ダイフク 6,115 642 +16.0 57.8 15.1 3.05 21.4

会社紹介

安川電機(6506)

  • モーション制御・ロボット・インバータに強みを持つメカトロ総合メーカー。“オープン連携”を軸にした柔軟なソリューション展開で世界中の製造現場を支える。
    FA+ロボットを柱に、医療・環境分野にも領域を広げる企業。
  • 営業利益“増減率”はマイナス(前年差▲24.3%)となったが、、経常利益は前年比+13.6%とプラスを維持、ROEは高く収益力そのものは健在。

キーエンス(6861)

  • センサー・画像処理・計測機器で世界最高峰の収益性を誇るFA企業。
    営業利益率50%超の“超高収益モデル”で、研究開発・営業力ともに圧倒的。
    設備投資の自動化を支えるFAの王様的ポジション。
  • 売上・利益ともに堅調増収で、安定した高収益体質を維持。

オムロン(6645)

  • 制御機器・ヘルスケア機器・社会システムなど広い領域を持つ総合電機メーカー。
    FAではセンサー・スイッチなどに強みを持ち、人と機械をつなぐ基盤技術で評価。
    最近は社会インフラ・医療領域にも積極展開。
  • 以前は利益が大きく落ち込んだ年度もあり ROE も低下していましたが、直近の2025年3月期決算では、売上高8,018億円・税前利益290億円と大きく反発しているのが特徴です

ダイフク(6383)

  • 物流システム・マテハンで世界首位級の企業。
    自動倉庫・搬送ロボットなど“物流の自動化”を支える重要プレイヤー。
    eコマース増加と省人化ニーズで長期的な追い風が強い。
  • 増収増益(+16.0)で堅調、ROE15.1%と高い効率性を維持。
  • 「※ダイフクは決算期変更があるため、指標の基準日(期末)を揃えて記載」

企業としての強み、弱み

強み:世界で独自の地位を築く“圧倒的な総合FA企業”

ファナックの最大の強みは、CNC(工作機械の頭脳)・サーボ・産業用ロボット・ロボマシンまでをすべて自社内で一貫開発できる世界でも珍しい“垂直統合型メーカー”である点です。
CNCでは世界トップクラスを維持
しており、この“工場の頭脳”を押さえていることで、他製品の採用にもつながる強力なエコシステムが形成されています。

さらに、同社製品は耐久性・信頼性が非常に高く、24時間稼働のような過酷な現場でも故障が少ないという評価があります。世界100か国以上に広がるサービス拠点のネットワークと組み合わせることで、「壊れてもすぐ直せる」「古い機械も支え続ける」という安心感がブランド価値を大きく高めています。

財務面でも圧倒的で、無借金・巨額のキャッシュを背景に景気後退局面でも黒字を維持。必要な投資を一気に行える体力があるため、研究開発費も毎年500億円規模を継続できています。

強みのポイント

  • CNCシェア世界トップクラスで“工場の頭脳”を握る圧倒的存在
  • ロボット・ロボマシンまで統合した唯一無二の“一気通貫FA企業”
  • 故障が少なく、世界各地にサービス拠点を持ち、保守が支える“安心のブランド力”
  • 営業利益率20〜25%の高収益+潤沢なキャッシュの強靭な財務基盤

これらの要素が組み合わさり、ファナックは競合が入り込みにくい“参入障壁の高いビジネスモデル”を築いています。

弱み:景気敏感な収益構造と、専門特化ゆえの脆さ

一方で、業界の将来性でも触れたように、ファナックの収益構造は外部環境の影響を受けやすい側面も持ちます。
FA(CNC・サーボ)は工作機械需要に直結するため、中国景気や自動車投資の波を強く受け、ロボマシンもスマホ市場の停滞時には大きく影響を受けました。需要が市況に左右されやすく、中期的な成長が“ギザギザしやすいという弱点があります。

また、ファナックは“選択と集中”を徹底しているため、事業領域がFA・ロボットに限定されており、他の巨大市場(半導体装置、医療機器など)への収益分散が進んでいません。AI・協働ロボット分野では海外勢に先行され、自前主義がスピードの足かせになる懸念も指摘されています。

顧客基盤の偏りも課題で、自動車業界への依存度が高いとされることから、EVシフトの谷間では投資が停滞しやすいリスクがあります。FA分野でも日系工作機械メーカーへの依存が強く、国内市場縮小の影響を受けやすい構造です。

加えて、為替変動の影響が大きい・山梨本社のため自然災害リスクがある・人材確保が難しいといった要素も、一定の弱みとして存在します。

弱みのポイント

  • 設備投資サイクルの影響を強く受け、売上が景気で振れやすい構造
  • FA・ロボットに事業が集中し“収益源の分散”が進んでいない
  • AI・協働ロボットでは他社に先行され、自前主義が柔軟性の課題に
  • 自動車・工作機械向けの依存度が高く、市場構造変化の影響を受けやすい

まとめ|ファナックを調べて気づいたこと、そして将来への視点

今回あらためてファナックを調べてみて、「日本にも世界で戦える製造業が残っているんだな…」という感想がまず浮かびました。

日本ではロボットやAIのニュースを見るたびに、どこか“海外の技術が中心”というイメージを持ちがちですが、実際に調べてみると工場の頭脳であるCNCや、世界中で動く黄色いロボットの多くが日本の技術で支えられていることがわかります

この事実はあまり報道ベースでは発信されていない印象ですが…内容が難しいからですかね。

一方で、産業用ロボット市場そのものが景気や国際情勢に大きく揺れることを考えると、「強いけれど安泰ではない」という現状も見えてきます。中国の景気減速、米中摩擦、EV投資の波、AI競争…。外部環境の変化がこれほど業績に影響する企業も珍しく、調べれば調べるほど“世界の工場として景気に直結している企業”なのだとわかります。

しかし投資家の視点としては、この“波はあるが戻ってくる強さ”はファナックの魅力でもあります。
無借金・巨額キャッシュ・高収益という財務基盤は非常に堅固で、不況期でも赤字に沈みにくい。さらにサービス事業が成長し、景気の谷をある程度吸収できる体質に変わってきている点も安心材料です。

それでも、CNCからロボット、ロボマシン、サービスまで垂直統合できる企業は世界でもほとんど存在せず、この“総合力”はファナックの大きな武器です。AI・フィジカルAIの時代が本格的に来たとき、「工場を丸ごと賢く動かせる企業がどれだけ強いのか」その未来が少し楽しみになりました。

今回調べてみて、ファナックは“将来の日本の製造業を語るうえで避けて通れない存在”だと感じています。今後もロボット・自動化の潮流を追う中で、継続的にウォッチしていきたい企業です。

投資は自己責任でお願いします。

出典、参考資料

ファナック株式会社 公式ホームページ
https://www.fanuc.co.jp/

ファナック 決算短信・説明資料(IRライブラリ)
https://www.fanuc.co.jp/ja/ir/library/library.html

ファナック 有価証券報告書(自社サイト)
https://www.fanuc.co.jp/ja/ir/library/yuho.html

ファナック 有価証券報告書(EDINET)
https://disclosure.edinet-fsa.go.jp/
※提出者コード:E00429

IRバンク(ファナック財務データ)
https://irbank.net/E00429

日本ロボット工業会(JARA) 統計情報
https://www.jara.jp/

国際ロボット連盟(IFR) 公式サイト
https://ifr.org/

経済産業省 ロボット・スマートファクトリー政策ページ
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/robot/

日本経済新聞(製造業・ロボット関連)
https://www.nikkei.com/

日経クロステック(製造業・ロボット技術)
https://xtech.nikkei.com/

Bloomberg(企業ニュース・市場データ)
https://www.bloomberg.co.jp/

ロイター(ロボット・製造業ニュース)
https://jp.reuters.com/

競合比較に使った企業の決算資料

*出典元のサイトに将来アクセスできなくなる場合があります。

*最新情報でない場合があります。

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